ななころびやおき

気の向いたときに趣味で投稿します。ゼロ戦は21型が一番好き。

人生が行き詰っていたときに聴いていた曲

昔、人生に行き詰っていたことがある。

 

何もできなくて毎日将来への恐怖を感じていた時期がある。

 

そんなときには恐怖で自分が押し潰されないように音楽を聴いて自分の心を誤魔化そうとした。

 

ところが何を聴いても恐怖は消えない。

昔にハマった曲、現在好きな曲、心の癒しになりそうな曲、過去に効果のあった曲。

どれも良かったけど、どれも自分の心を救う効果はなかった。

 

あるとき。

 

ウルトラマンの曲を聴こうと思った。

子供の頃に大好きだったウルトラマンの曲を。

 

もともと僕は苦しいときにはよくウルトラマンの曲を聴いて元気と夢を補給する人間だった。なので今回も昭和ウルトラマンから平成ウルトラマンまで、OP曲もED曲も全部聴いた。

 

奥の手、最後の手段だった。

 

一切効果はなかった。

 

恐怖は消えない。

 

もし僕がアメリカにでも生まれていたらこの辺りでクスリに手を出していた可能性もあったと思う。そのくらい恐怖で死にそうだったから。(※今現在こういう状態の人がいたら、評判の良い心療内科に受診することをおススメする。僕も最終的に心療内科に通うことで心の状態の悪化を防ぐことができた)

 

子供の頃の永遠のヒーローでさえも自分の心を救ってはくれない。

ウルトラマンは大大大好きなのに。空想は現実を救ってはくれないのか。

 

そんなとき。

 

たまたま見つけた曲があった。

仮面ライダーブレイドのOP曲『ELEMENTS』だった。

 

僕は子供の頃から仮面ライダーが苦手だった。

 

ウルトラマンのことは語れるけど、仮面ライダーは詳しくない。

成長するにつれて心のヒーローになったウルトラマンとは対照的に、仮面ライダーは食わず嫌いで毛嫌いの対象になっていったほどだった。

 

でもここまで来たら聴くだけ聴いてみようと思った。

 

「好きなことをやっても上手くいかないなら、嫌いなこともやってみろ」という、どこかの誰かの言った言葉を思い出したからだ。

 

聴いた。

 

勇気が湧いてきた。

 

以来、僕はこの曲を聴きながら恐怖をやり過ごして生きながらえた。

 

仮面ライダーで興味のある作品は一通りみた。クウガ、アギト、龍騎ファイズブレイド響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド、ダブル、オーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武は視聴した。

 

僕の心を救ってくれた仮面ライダー曲は『ELEMENTS』のほかにも見つかった。

ファイズの『Dead or alive』、カブトの『FULL FORCE』、龍騎の『果てなき希望』、フォーゼの『Giant Step』、オーズの『Anything Goes!』など。僕の心の支えになってくれた。何度も何度も聴いた。

 

あの恐怖の時期をやり過ごし耐えるのに欠かせなかった存在は仮面ライダーだった。

 

なんで仮面ライダーだったんだろう。

なんで自分の心を救う存在はウルトラマンではなかったのだろうか。

 

今にして思うと、こういうことだったのではないかと思うことがある。

 

まず。仮面ライダーは作中で問題を解決するときは自分でなんとかしないといけない展開ばかりだった。仮面ライダーはあくまでも自分で敵を倒さないといけなかった。理想通りの展開にならなくても進み続けなければならない『人間』だった。

 

ウルトラマンの場合は最後にはウルトラマンがなんとかしてくれる展開が基本だった。

もちろん、人間がウルトラマンの力を借りて変身するんだけど、どうしてもウルトラマン頼みの展開になる。ウルトラマンのおかげで最後は必ずハッピーエンドになる。そこにはウルトラマンと合体して半神になれば救われるという甘い空想の他力本願がある。

 

曲にもそうした印象は現れている。

 

ウルトラマンの曲は神様の視点で優しく語りかけてくれる印象が強い。

 

仮面ライダーの曲は今現在辛い状況に遭っている生身の人間が「それでも前に進むぞ」と言っている印象がある。

 

だからこそ勇気を貰えたのかもしれない。

 

もちろんこれは当時に感じた個人的な印象と感想だ。すべての曲がそうとは言わない。

 

すなわち。

 

恐怖に苛まれていたあの時期に自分に必要だったものとは、ウルトラマンに助けを求めるような他力本願ではなくて。

 

仮面ライダーのように過酷な状況下にあっても笑って希望を信じて足腰に力を込めるような。根拠はなくとも実力もなくとも、底に落ちた今現在この場所を足場と定めて自分の力を信じることにあったのではないかと。

 

今でもキャラクターとしてはウルトラマンの方が好きだ。

だけど、辛いときに見習おうと思うキャラクターは仮面ライダーになった。

 

ウルトラマンは地上から、地獄にいる僕のところまで救いの糸を垂らしてくれていたのかもしれない。けれど仮面ライダーは一緒に地獄まで落ちてきて、僕が自分の足で地上に上がるまで一緒に隣で歩いてくれた。

 

辛い時期よりもなお辛い、行き詰りの恐怖の時期に本当に心の支えになってくれた存在は、大好きなウルトラマンではなくて、毛嫌いしていた仮面ライダーだった。

 

行き詰ったときほど毛嫌いしているものに目を向けろということなのかもしれない。

 

最近また行き詰ってきているので。

 

いまの自分が毛嫌いしているものにも目を向けてみようと思う。実体を知ったら実は好みでした、というものを見つけるのがポイントかもしれないね。